Gipnoza ギプノザ。

久しぶりのブログ更新がCDのレビューになってしまった。

平沢進氏の核P-Modelとしてのニューシングルが9年ぶりに発売し、かつとても良かったので書かずにはいられなかったのである。

アニメーション映画監督、今 敏氏の影響で大学に入りたてのころからファンになった平沢進。ファンクラブに入ったアーティストは彼が初めてである。ともかくすごい人だと思う。

今回のアルバム、「Gipnoza」( ギプノザ)はロシア語で睡眠という意味らしい。平沢のツイートおよびCDのイメージとしては、記憶に新しい東関東大震災。それにともなう人々の思考変化、マスメディアの横暴、そんな世界での生きることへの希望などが歌われている。ように感じた。相変わらずスルドイ干渉。バッキバキでありどこか胡散臭いさすがの一枚である。

2013

 

1:Gipnoza

アルバムタイトルのオープニングナンバー。スピーディーで胡散臭さ満点。なんか気持ちわるーいピコピコ感と初めて聞くメロディー。もうすぐ還暦を迎えるおっさんがこんなに最先端なものを作れるのがすごい。

2:それ行け!Halycon

いわゆる初期P-Model風。テケテケピコピコ。元P-Modelの田中靖美氏が参加している。きっと師匠(ファンは平沢進氏のことをこう呼んでいる)はうれしくてたまらんのだろうな、と思いながら聞く。個人的にかなり好きなメロディー。リズムがいい。師匠のシャウト「ララリー!!」ライブではノリノリになってしまうぞこれは。

3:排時光

名前がもうかっこいい。曲ももちろんかっこいい。前作のソロアルバム「現象の花の秘密」での”華の影”のようなダークサイドオブ平沢的な歌。イントロがまずよい。世界観に引き込まれる。低音で歌う「グッモーニン ヒューマン 汝 光なり」、この単語は個人的に今年も最も引き込まれたフレーズの一つだな。サビはダークな感じかと思いきやメロディーからほのかに希望が見える。なんだこの感じ。タイトルのように暗い部屋に光が差し込んでいるようなイメージがわいた。

4:白く巨大で

変なタイトルである。メロディーと声は優しく、白い平沢。核P-Modelの最初のアルバム「ビストロン」のアンチモネシアに酷似したメロディー。今回のほうが好きだな。前作とは何か関係があるのかな。とても雄大な世界をほうふつさせる歌詞と歌い方。気持ちがいい。あーゆったり。

5:Dμ34=不死

なんて読むのかと思えば「でぃー・にゅー・さん・よん」だって。なんじゃそりゃ、そのまんまか。この曲もダークな黒い平沢。攻撃的な感じはないけど。リズムがいろいろ変化し、歌い方もその都度変化するまるでショートオペラだ。サビに入るところのゾクゾク感がたまらん。”瓦礫のテラ”、”無法の神”、”誤動の富”、”粗暴の都市”・・・。言葉選びが秀逸すぎる。テラ=寺?深読みしすぎて駄洒落なのかとも考えてしまう。まんざら間違いじゃないこともあるから油断ならず。師匠の歌は深い。

6:Dr.Drevniye

平沢の曲によく出てくる変な人シリーズ。今回はロシアのB級SFのような怪しいキャラクターだな。サビの部分の光に包まれたような神々しさに胡散臭さが漂ってくる。昔の漫画に出てくる怪しい変な医者のイメージ、笑うセールスマン的なイメージ。歌は静かでとても安らぐが、絶対裏がある。そんな感じ。師匠の歌は頭のないかに物語の絵がわいて来たり、創造力を高めてくれるものばかり。

7:Parallel Kozak

インスト。ライブのタイトル。これがオープニングのような気がする。個人的にこれとても好き。何か狂っていて、可笑しい。メロディーはかわいいのに人々が右向け右で有象無象の軍隊が行進しているようでもある。最後には交通事故の音。なんなんだ。これこそが平沢の本質。

8:Alarm

まさにタイトル通り。怖い。恐怖の音。人々が何かに追われ逃げ惑う。大人数の狂気の沙汰がみえる。アラームの音がやたら印象に残る。これが最後の2曲の前にある。よくできたアルバムだなあ。

9:109号区の氾濫

なんというタイトル!もうあたり。イントロはとてもかわいらしい。が歌詞が震災を思い起こさせる。「1000年もキミを待った」だれがこの大災害を望んでいたのだろう。。氾濫、でも逃げ惑うのは当事者ではなく傍観者。いろいろ考えさせられる曲。109ってなんだろう。108が煩悩だとしたらその次?なんなんだ?

10:Timelineの東

最後はゆっくりめかと思いきやおもいっきりアジアンテクノ。これがまた泣ける。メロディーラインが懐かしい。幼いときにどこかで聞いたことのあるような、それでいて新しい。タイムラインの東ってことは時間の東、つまり「死」を意味すると思われる。多くの人の死、身近な人の死、更には老いて死に近づいている自分、でも毎日明るく未来へ向かっていこうという希望がある。そんな歌に聞こえた。「道を東へキミの威光のほうへ」この歌詞が泣ける。なんでだろ。暗く混沌とした世の中なのに、明るくて希望が見える。「遠くから来る雨が履歴を綴り替え 近くで舞うキミと再会に気付く」ここらへんで胸がぎゅーっとなる。忘れた人がそばにいる感覚に泣きそうになる。「忘れたものと引き換えにガラクタを積んだ社は消え、蓮の葉の雨粒ほどの宇宙にもキミの無限を見た」ここの歌詞は震災をほうふつさせる。蓮、宇宙、死を連想させる言葉がちりばめられているが悲しくない。明るく前向きな追悼。これたまらんぞ。

というわけで今回のアルバムは最後のどんでん返しでとても感動的な名作になってしまったわです。正月からライブ三昧じゃ。


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